監査法人で勤務する公認会計士に英語はどれくらい必要か?

悩んでいる経理

監査法人では実際どういった業務で英語が必要となるの?
英語ができないと出世できないの?
どうやって英語勉強するの?

海外赴任から帰ってきて実際に英語を使用して監査法人で業務を行って(TOEIC900点ほど)が上記の質問にお答えします!

この記事でわかること
  1. 監査法人の会計士が英語を使って行う業務とは何か、またそれに対して必要となる英語のレベルは?
  2. 英語ができない会計士は出世できないのか?
  3. 監査法人の会計士はどうやって英語を勉強しているか?入ってからでは遅い?
  4. 結局、監査法人の会計士に求められる英語とは

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目次

監査法人の公認会計士はどういった業務で英語を使うのか

そもそも公認会計士が業務で英語を使用する場面はどこなのでしょうか。実際に業務している場面は以下のとおりです。

監査法人の公認会計士が業務で英語を必要とする場面
  1. 海外の監査人とやり取りするケース
  2. 英語の開示資料をチェックするケース
  3. 海外出張に行くケース
  4. 英語の資料を読むケース

更に上記の業務に必要となる英語力と関与する可能性を一覧にした表は以下のとおりです。

ひとつひとつ説明していきます。

①海外の監査人とやり取りするケース

監査法人の公認会計士が業務で英語を使用するケースとして圧倒的に多いのが、この「海外の監査人とやり取りするケース」となります。

具体的には以下のとおりです。

担当している会社が海外に子会社を保有していてその子会社に重要性がある場合、親会社の監査人は子会社の監査人に対して必要な作業を指示する必要があります。海外子会社の監査人は通常外国人であることから、彼らに作業を指示する際に英語を使用することとなります。

このケースでは更に具体的に以下の業務に分けられます。

海外の監査人とやり取りする英語業務
  1. 必要な作業を指示する監査指示書を作成してメールでやり取りする業務
  2. メールだけのやり取りでは終われない場合に、teams等で直接会議を行うケース

それぞれの業務内容と求められる英語力は次のとおりです。

✓監査指示書を作成してメールでやり取りするケースで必要となる英語力

この業務で英語が必要となる作業は2つ、監査指示書を英語で作成することと、作成した監査指示書を英語のメールで送付することの2つです。

前者はそのままですが現地の監査人に対して指示する作業の指示所を英語で作成する業務となります。また、後者は監査指示書を英語で送付して、現地の監査人とのやり取りを英語で行うことがメインの業務となります。

この業務にどれくらいの英語力が必要となるかは以下のとおりです。

監査指示書のやり取りで求められる英語力

監査指示書を英語で作成する業務はそもそも英語のひな形が用意されているため、大学受験レベルの英語ができていれば特に新たな知識は不要です。
また、英語でのメールのやり取りといってもこちらも日常会話程度のやり取りなので、大学受験レベルの英語で十分対応できます。英作文もDeepl等を利用すれば十分対応できるものです。
そのためこの業務では大学レベルのWritingとReadingの英語能力さえあれば問題ありません

この業務に会計士がどれくらい関与する可能性があるかですが、

監査指示書業務に会計士が関与する割合

最近ではほとんどの上場会社は海外に子会社を持っていますので、大手監査法人で勤務している公認会計士のほとんど全員が海外の監査人とやり取りするケースが発生します。

以上が一般的な現地の海外監査人とのやり取りですが、これだけで終わらない場合は次の「メールだけのやり取りでは終われない場合にオンライン会議を行うケース」となります。

✓メールだけのやり取りでは終われない場合にオンライン会議を行うケースで必要となる英語力

メールだけで業務が完了すれば問題ないのですがいつもそうとも限りません。

メールのやり取りでは詳細が分からなかったり、急ぎの要件がある場合には、現地の監査人と直接オンライン会議を行うことがあります。それがこの「メールだけのやり取りでは終われない場合にオンライン会議を行うケース」となります。

どれくらいの英語力が必要となるかは以下のとおりです。

オンライン会議を行う際で求められる英語力

言うまでまなくこの業務では海外の監査人との英会話が必要になります。
しかし、英会話のレベルも国によって様々です。アジア等の英語が第2外国語の国であれば英語能力は日本寄りとなる一方、ヨーロッパや北米等の英語が母国語の国の英会話はスピードが圧倒的に上がります。それでも話す相手が日本人と分かっているためある程度分かりやすく説明するケースは多いようです。
いずれにせよこの業務では通常の英会話ができる能力が求められます

ただ、監査法人勤務の会計士がみんな英会話ができるわけではないです。ではどういった会計士がオンライン会議の業務に関与するかですが、

オンライン会議に公認会計士が関与する割合

英会話ができるレベルの人間しかこの業務に関与しません。そのため、監査法人の会計士全てが関与するわけではない業務となります。

なお、北米レベルの英会話でも問題なく対応できる公認会計士は監査法人全体の5%もいません。そのため現地監査人と英会話でやり取りできる人は、それがアジアレベルでも監査法人では大分重宝されます。

また、その5%の人たちも監査法人に入社してから英語を勉強している人がほとんどです。監査法人に入社した時点でペラペラな人をほとんど見たことがありません。そのため、入社時点で英語ができないからと不安がる必要はないでしょう。

②英語の開示資料をチェックするケース

次に監査法人の業務で英語を使用する機会が多いのが、「英語の開示資料をチェックするケース」となります。

英語開示資料チェック業務
  • 上場会社で海外に展開している会社はアニュアルレポートと言われる英語開示資料をHPで公表しており、その正確性を保証する業務

大きな上場会社ではたいがい自社のHPでアニュアルレポートと呼ばれる英語版の有価証券報告書を公表しています。それに対して監査法人が監査を行うことがあります。例えば、マツダのHPで公表されているアニュアルレポートが参考になります。

では、この業務で求められる英語力はどの程度でしょうか。

英語開示資料チェック業務で求められる英語力

有価証券報告書の英訳版であることから大学レベルの英訳ができれば十分です。なお、新しい注記の文言は監査法人が文例を用意してくれるケースが多くなります。

この業務に会計士がどれくらい関与するかですが、

英語開示資料チェック業務に公認会計士が関与する割合

この業務も監査法人に入社した会計士の多くが担当することとなります。

③海外出張に行くケース

3つ目の英語を使用する機会としては、海外出張に行くケースです。

この場合に必要となる英語能力は以下のとおりです。

海外出張で必要となる英語力

こちらも英会話能力が必要となります。大手の監査法人の場合、主な海外の拠点には駐在員がいるため彼らが英会話をサポートしてくれることもありますが、やはりある程度の英会話能力は必要となります。

ただ、この業務に関与する公認会計士は監査法人でもある程度年数を積んだものとなります。

海外出張に会計士が関与する割合

海外出張にどれくらいの頻度で行くかについては担当している会社の規模にもよりますが、海外出張に行くケースはマネジャーであっても年に1回あるか否かくらいだと思います。

なお、最近はコロナの影響により海外主張に行くことはほとんどありません。オンライン会議で済ませることが多くなっています。

④英語の資料を読むケース

最後は英語の資料を読むケースです。

これについてはどっさり何ページも英語の資料を読むという機会はほとんどありませんが、1枚ものの資料が英語で記載されているというのはよくあるケースです。

例えば、海外からの送金資料や輸出入に関する資料などとなります。また、英語の契約書を読むケースもあるでしょう。

以上まとめると以下の通りです。

英語ができない公認会計士は出世できないのか

次に英語ができないと監査法人では出世できないのでしょうか(パートナーになれないのでしょうか)?

結論としては、英語ができなくても出世できている人はたくさんいます!ただ、最近は出世している人に英語ができる人が多いのも事実です!

これは監査法人で出世するために何が必要かの問題となります。最近の監査法人ではパートナーになることが難しく、パートナーになるためには自分が監査法人に対して何を提供できるかを示す必要があります

例えば、監査の品質、営業力、IPOやパブリック等特定分野でのスペシャリスト、英語ができてグローバルな監査をコントロールできる等の能力となります。

しかし、最近の監査法人の特徴としては、監査の品質を保つためにグローバルな監査をコントロールできる人材が求められる傾向にあります。そのため、英語ができてグローバルな会社の監査をコントロールできる人材が求められているのは間違いありません。

つまり、

英語ができるだけで出世できるわけではないですが、英語ができると出世に有利な点は間違いありません。

監査法人の公認会計士はどうやって英語を勉強しているか?入ってからでは遅い?

公認会計士は英語をいつから勉強すべきか

では、いつから英語を勉強すべきなのでしょうか?

早ければ早いほどいいですが、監査法人に入社後から勉強しても十分です。

というのも、監査法人で英語を使って業務している人の多くは入社後から勉強しています。ぺらぺら喋られる人でも入社前から英語ができていた人というのはほとんどいません。そのため、英語の勉強は入社してからでも遅くはないでしょう。

次に具体的にどうやって勉強しているのか調べてみました。

公認会計士の英語の勉強方法

勉強方法は色々あると思いますが、筆者の体験で以下のとおりまとめてみました。

筆者(TOEIC400→900点にアップ)の勉強方法
  • 独学
  • 社内の研修
  • 短期留学

それぞれ説明します。

独学

私は英語の勉強目的をTOEICのスコアアップと定めました。そのため、TOEIC前半のリスニング対策と後半の文章対策に絞って勉強したのですが、色々な教材をやる時間もないため以下2つに絞って家や通勤時間に読んでいました。

独学の勉強で使用した教材2つ
  • 総合英語Forest
  • TOEIC公式問題集

1つ目は「総合英語Forest」です。

正直分厚くて読むのはしんどいのですがTOEICに必要な英文法が網羅されています。参考書は何冊か読んでみましたが、これが一番分かりやすかったです。大学受験で使った方も多いでしょうか?ちなみに新品だと高いので中古で十分だと思います。

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2つ目は「TOEIC公式問題集」です。

やはりTOEICの公式問題集をやるとスコアアップに直接貢献するので有効でした。

ListeningやReading対策は他にもTEDを見たりもしていましたが、今はYoutubeに色々コンテンツがあるのでそちらでもいいかと思います。

社内の研修

2つ目の勉強方法は社内の研修です。

監査法人はどこでも英語勉強プログラムを準備しているのではないでしょうか。私も監査法人社内の研修はたくさん受けました。

特に外部の会社と提携しているタイプの講義はおすすめです。通常受講すると何十万円かかる講座を受講することができます。これを受けない手はないのではないでしょうか。

海外短期留学

そして何よりおすすめなのは短期留学です。

英語が伸びるのは英語漬けの環境に身を置くことです。

私の場合でも海外短期留学と海外赴任は圧倒的に英語の力が伸びました。ただ、いつでも行けるわけでもないのが難点です。しかし、呼ばれた時に行けるように準備しておくことは大事ではないかと思います。

結局公認会計士に求められる英語力とは

結局求められる英語力とは、まずは読み書きだと思います。そのうえで、話す聞くの能力を伸ばしていく必要があると思います。

以上、「監査法人で勤務する公認会計士に英語はどれくらい必要か?」という記事でした。

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この記事を書いた人

大手監査法人に勤務している会計士です!
会計基準、株式や不動産投資などのお金に関する情報を発信しています。

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