監査法人は忙しい?最近の監査法人の労働環境について

この8月20日から22日まで公認会計士の論文式試験があったようです。受験された方はお疲れさまでした。そんな受験者の方に向けてという訳ではないのですが、最近の監査法人の労働環境について書いてみたいと思います。

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監査法人の最近の労働環境について

監査法人の最近の労働環境ですが、一言でいうと忙しいに尽きると思います。

それだけでは身も蓋もないので、最近の監査法人がどうして忙しいのか要素に分けて書いてみました。

最近の監査法人は忙しい・・忙しさの理由は?

最近の監査法人は忙しいと記載しましたが、これは単純に労働時間が増えていることを意味します。では、どうして労働時間が増えているのか。すごく単純で、作業量が増加しているにも関わらず監査法人の労働人口が増えないためです。この点はそれぞれに分けて次に記載しています。

作業量の増加

忙しさの主な要因は、過去と比較して単純に業務量が多くなっているためです。業務量が多くなっているのは、監査の品質管理基準の厳格化によるドキュメント量の増加、毎年のように改訂される会計基準や監査や基準の対応といったところが理由です。

毎年のように繰り返される不正に対応するため新たな基準が出たり、国際的な品質管理基準の対応を受けてのドキュメント量が増えています。また、近年は新収益認識基準やKAMの導入といった大型の会計基準や制度導入が相次いだため、業務量が一気に増えています。

労働人口が増えない

業務量の増加に対して労働人口が増えれば個人の業務時間も減ることになるのでしょうが、そうもいっていないところが監査法人の忙しさに拍車をかけています。上記のような制度改定に対応するためにはある程度経験を積んだシニアクラス以上が必要となりますが、会計士試験受験者数や合格者数が増えていないこともあってこの層の数が不足している、また退職者も増えているといったところから、中々労働人口が増えていません。

退職者については後で忙しさの対策の箇所でも触れたいと思います。

私の個人的な残業時間

このような状況もあり最近の監査法人は忙しく、特にマネジャー層に負荷がかかっているといわれています。

私は現在マネジャーという職位ですが、ここ数年の労働時間はかなり増えている印象です。時間数で伝えるのが難しいのですが、ずっと仕事をしている感覚に陥ります。

忙しさ解消のための対策は??

では、忙しさのために監査法人が何も対策していないのかといわれるとそうでもなく、監査法人側でも色々対策をしています。

労働者か労働時間を増やす対策

まず、労働者を増やす(減らさない)施策としては、主に4つ①退職者を減らす、②多様な働き方を可能とする、③中途採用や専門職以外の採用を増やす、④リモートを活用するとなっています。

①退職者を減らす

最近の監査法人では退職率が高止まりしています。これは、業務が忙しく単純に疲れてしまう、業務が面白くなくやめてしまうといった理由が多くなっているようです。

業務が忙しく疲れてしまうに関してはもう悪循環となってしまっているのですが、③の労働者を増やす方向で対応することを考えている様です。一方、業務が面白くないという点についても難しいのですが、こちらも③専門職以外の採用を増やして、単純作業を回避させる方向での対策を考えているようです。

②多様な働き方を可能とする

これは主に女性についてですが、従来の監査法人では出産のタイミングで育休を取って戻ってくるとなかなか昇進を選択しにくいといった問題がありました。監査法人で働く女性が育休を取るタイミングというのは、通常マネジャーに上がるかどうかというタイミングとかぶることが多かったのですが、更なる出産を考えた場合マネジャー業務をこなせるか等の不安があり、昇格を選択せずに結果としてやめてしまう女性が多かったのです。

これについてはフレキシブルでの働き方を認めることで解消しており、現在は子育てが理由でマネジャーに上がることを選択せずに退職するというケースは減ったように思います。

それ以外にも、男性でも育休を取ることが可能となったりするなど、依然と比べて働き方の多様性を認め、労働人口の確保につなげているように思います。

③中途採用や専門職以外の採用

①でも記載していますが、中途採用を積極的に増やすようです。といっても、監査法人が嫌でやめた人が戻ってくるのかどうかは不明なところですが。

また、専門職以外の採用も増やすようです。ここで専門職以外というのは会計士以外のことを意味しており、従来スタッフが行っていた単純作業のような業務を専門職以外に任せることにより、スタッフに更なる経験を積ます、それにより面白くないという側面の解消も狙っているようです。

この施策は果たしてうまくいくのでしょうか。

④リモートを活用する

コロナ対策の一環として導入されたリモートですが、監査法人では労働時間確保の手段としても採用される傾向にあります。

そもそも監査という仕事とリモートワークの相性がよく、証憑と突合する等の手続に関しては場所を問わずに作業できるリモートでの実施が推奨されています。

緊急事態宣下では多くの大手監査法人でリモートワーク必須となっていましたが、緊急事態宣言が明けてからも通勤時間を減らす目的で採用されている印象です。

一方でリモートワークは印刷やPDF化ができない、すぐに気が緩むなどのマイナス面も多いとは思います。後者は本人のやる気次第でしょうが、前者は本当に不便です。私が事務所に行く理由の半分くらいは前者のような気もします。

作業量減らすための対策

労働人口や労働時間を増やすのは上記の通りとなっている一方、作業量を減らすための施策も行われいます。その多くは監査調書の削減です。パートナー主導で調書削減を行っています。しかし、これは過去から継続して行われており、また調書の多くは監査のルールで作成が必須とされているものも多いため、作業量減少はなかなか難しいところが多い印象です。

忙しいなら給料いいの?

最近の給料事情ですが、少し前より良くなっています。

これは単純に監査法人の業績が良くなって賞与が増えているためです。なお、各クラスの基本給にそこまで変化はありません。

賞与が良くなっているのは、コロナ禍でも監査法人の業績が悪くないためですが、その要因は監査報酬が下がらない割に経費が下がっているためと思います。

監査報酬が下がらない理由は、コロナ禍でもそこまで業績が落ちていない会社が多いということと、監査法人が値下げをしないためです。

一方で経費が下がっているのは他の企業と同様です。リモートワークが推奨されており、また出張も規制されていますので、通勤費、旅費交通費、出張手当が大幅に減少しています。監査法人に限って言うと案外リモートワークでもできると分かってきたので、コロナが収まっても昔の様に出張が戻らないのかもしれません。

こういった理由からここ数年賞与が逓増しており、会計士の給料はよくなっている印象です。

なお、最近のリアルな会計士の年収は以下をご覧ください。

結局、監査法人の忙しさは今後緩和されるか?

これから忙しさが緩和されるかどうかは上記の施策がどれだけ効果を出すかどうか次第です。しかし、個人的には法人でとれる対策に限度があるのではないかと感じます。

公認会計士協会でもこういった忙しさは認識されているようですので、もしかしたら今後合格者数の増加などもあるのかもしれません。

忙しさを含めた監査法人の労働環境については定期的に記事にしたいと思います。

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