新収益認識基準における出荷基準の取り扱い

2021年4月1日以降開始の事業年度より適用されている新収益認識基準ですが、IFRS15「顧客との契約から生じる収益」をベースにはしているもののいくつか例外事項が存在しています。そんな中でも今日は出荷基準について見てみました。

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そもそも従来の出荷基準とは

新収益認識基準ができる前まで、日本における収益認識基準は実現主義を採用していました。

これは企業会計原則に以下の通り記載されていることを根拠としています。

B 売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。

出典:企業会計原則

そして上記実現主義の文言にもある通り商品等の販売により収益を認識、すなわち出荷基準による収益の認識を行っていました。

新収益認識基準における原則的な収益認識基準

しかし、2021年4月以降開始の事業年度より収益忍認識全般に関する取り扱いを定めた収益認識基準が制定されています。

そこでは、収益認識は以下のとおり原則として履行義務を充足した時点で収益を認識するとされています。

35. 企業は約束した財又はサービス(本会計基準において、顧客との契約の対象となる財又はサービスについて、以下「資産」と記載することもある。)を顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、収益を認識する。資産が移転するのは、顧客が当該資産に対する支配を獲得した時又は獲得するにつれてである。

出典:収益認識に関する会計基準

通常の国内での商品売買を例にとれば、顧客との間での履行義務というのは商品の受け渡しになることから、履行義務を充足した時点、すなわち商品が客先で検収された際に収益を認識することとなります。これをよく検収基準などと呼びますが、そう呼ぶ理屈は上記のとおりです。

従来の日本基準と違うところは、顧客に向けて出荷したタイミングではなく顧客側で検収されたタイミングで収益を認識するということです。通常国内であればよほどの遠隔地でない限り翌日には客先に届くと思いますが、それでも出荷基準と検収基準では収益認識タイミングに1日から数日程度のずれが生じることとなります。

新収益認識基準における出荷基準の取り扱い

上記のとおり新収益認識基準における原則的な収益認識は履行義務を充足した時点である、検収時点となります。しかし、それでは新収益認識基準で出荷基準が認められていないのかとなると、例外的に許容されています。それが以下の場合です。

98. 会計基準第 39 項及び第 40 項の定めにかかわらず、商品又は製品の国内の販売におい、出荷時から当該商品又は製品の支配が顧客に移転される時(会計基準第 35 項から第 37 項、第 39 項及び第 40 項の定めに従って決定される時点、例えば顧客による検収時)までの期間が通常の期間である場合には、出荷時から当該商品又は製品の支配が顧客に移転される時までの間の一時点(例えば、出荷時や着荷時)に収益を認識することができる。
商品又は製品の出荷時から当該商品又は製品の支配が顧客に移転される時までの期間が通常の期間である場合とは、当該期間が国内における出荷及び配送に要する日数に照らして取引慣行ごとに合理的と考えられる日数である場合をいう。

出典:収益認識に関する会計基準の適用指針

出荷基準により収益認識が認められるのは2つのケース、すなわち

出荷基準により収益認識が認められる場合

✔ 国内における商品または製品の販売であること

✔ 出荷時から当該商品又は製品の支配が顧客に移転される期間が、当該期間が国内における出荷及び配送に要する日数に照らして取引慣行ごとに合理的と考えられる日数である場合

上記2要件を満たす必要があります。

これは実務的な要請を考慮して、検収がまでの期間が通常であれば例外的に出荷基準での処理を認めることとした趣旨であると考えられます。そのため、国内の出荷期間である数日程度であれば従来とおり出荷基準で処理することも可能となっています。

以上、「新収益認識基準における出荷基準の取り扱い」という記事でした。

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