導入初年度であり新収益認識基準の会計処理を検討する機会が多くあります。そんな中でも今回はリベートの会計処理を調べた結果を記事にしています。曖昧であった従来と異なりある程度基準で明記された形になっています。
リベートの定義とこれまでの会計基準におけるリベートの会計処理
リベートの定義は、謝礼目的で授受される金銭のこととなっています。会計上で論点となるリベートは、あらかじめ設定された目標値を上回った際に金銭が支払われたり、一定の料率に基づき売上代金の返金が行われたりするものとなります。
そのようなリベートの会計処理ですが、新収益認識基準が公表されるまでは会計処理が明確に規定されていませんでした。そのため、会社によって売上高から減額処理したり、販管費の戻し処理にするなど会計処理が分かれている現状がありました。
しかし、新収益認識基準の登場によりリベートの会計処理にある程度の指針が明示されることとなります。次にその内容を見てみたいと思います。
新収益認識基準におけるリベートの会計処理
リベートの会計処理
新収益認識基準ではリベートの会計処理について63項で以下の通り規定しています。
46. 履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、取引価格のうち、当該履行義務に配分した額について収益を認識する。
(2)取引価格の算定
47. 取引価格とは、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額(ただし、第三者のために回収する額を除く。)をいう。取引価格の算定にあたっては、契約条件や取引慣行等を考慮する。48. 顧客により約束された対価の性質、時期及び金額は、取引価格の見積りに影響を与える。
取引価格を算定する際には、次の(1)から(4)のすべての影響を考慮する。
(1) 変動対価(第 50 項から第 55 項参照)
(2) 契約における重要な金融要素(第 56 項から第 58 項参照)
(3) 現金以外の対価(第 59 項から第 62 項参照)
(4) 顧客に支払われる対価(第 63 項及び第 64 項参照)63. 顧客に支払われる対価は、企業が顧客(あるいは顧客から企業の財又はサービスを購入する他の当事者)に対して支払う又は支払うと見込まれる現金の額や、顧客が企業(あるいは顧客から企業の財又はサービスを購入する他の当事者)に対する債務額に充当できるもの(例えば、クーポン)の額を含む。
顧客に支払われる対価は、顧客から受領する別個の財又はサービスと交換に支払われるものである場合を除き、取引価格から減額する。顧客に支払われる対価に変動対価が含まれる場合には、取引価格の見積りを第 50 項から第 54項に従って行う(適用指針[設例 14])。64. 顧客に支払われる対価を取引価格から減額する場合には、次の(1)又は(2)のいずれか遅い方が発生した時点で(又は発生するにつれて)、収益を減額する(適用指針[設例 14])。
(1) 関連する財又はサービスの移転に対する収益を認識する時
(2) 企業が対価を支払うか又は支払を約束する時(当該支払が将来の事象を条件とする場合も含む。また、支払の約束は、取引慣行に基づくものも含む。)
少し長いですが、63項により顧客に支払われる対価は、顧客から受領する別個の財又はサービスと交換に支払われるものである場合を除き、取引価格から減額するとされており、リベートについては取引価格より減額されることとなります。
なお、「顧客から受領する別個の財又はサービスと交換に支払われるものである場合を除き」とありますが、これは対価として取引先より何かをもらう場合を除くことを意味しており、リベートの様な対価性のない売上の減額は取引価格より減額されます。
リベートを認識する時点
リベートを認識する時点については64項より(1)収益を認識した時、もしくは(2)リベートの支払いを約束する時いずれかの遅い方となっています。リベートの場合、通常はあらかじめ条件が決まっていることが多いと考えられるため、(1)の方が遅く、収益認識時点にリベートも認識することになると考えられます。
まとめ
今日のまとめは以下の通りです。
以上、「新収益認識基準におけるリベートの会計処理」という記事でした。関連する記事は以下参照ください。