ユニットエコノミクスにおけるLTVとCACの関係は?

昨日の記事でユニットエコノミクスに関する定義まで記事にしました。今日はユニットエコノミクスにおけるLTVとCACの関係と、どれくらいの数値を出せればいいのかについてみてみました。

ユニットエコノミクスの各指標について知りたいかは以下の記事をご覧ください。

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目次

ユニットエコノミクスにおけるLTVとCAC

改めてユニットエコノミクスとはUnit Economicsと表現され、1ユーザー当たりの経済性を評価する指標です。

ユニットエコノミクスでは主に2つの指標LTVとCACで事業の採算性を評価します。

LTVとはLife Time Valueと呼ばれ、企業が1ユーザーから獲得できる価値の総合計となります。また、CACはCustomer Acquisition Costと呼ばれ、1ユーザーを獲得するために必要となるコストを示します。それぞれ以下の計算式で算定されます。

LTV=ARPU÷Churn Rate

CAC=ユーザー獲得コスト(広告宣伝費等)÷獲得ユーザー数

ここまでが前回の簡単なおさらいでした。ここからこの指標を用いてユニットエコノミクスをどのように評価するかとなります。

ユニットエコノミクスの算定

ユニットエコノミクスの計算

ユニットエコノミクスの計算式は、LTV/CACとなります。

当然ですがCACがLTVより大きければユニットエコノミクスは1を割ることになりますし、LTVが高ければ高いほどユニットエコノミクスはより大きくいい数値になります。

では、このユニットエコノミクスはどれくらいの数値であればいいのでしょうか。その前にユニットエコノミクスの計算式が表す意味を説明します。

LTV/CAC=サービス平均継続期間/CAC回収期間となる

LTV/CACの計算式をもう少しわかりやすく置き換えたいと思います。

CAC=ユーザー獲得コスト(広告宣伝費等)÷獲得ユーザー数で1ユーザー当たりの獲得コストであるのは前回の記事の通りですが、次にCACの回収期間を考えたいと思います。

CAC回収期間とはCACをARPUにより何か月で回収できるかの指標であり、CAC回収期間=CAC/ARPUで算定できます。

この式を置き換えると、CAC=CAC回収期間×ARPUとなります。

LTV=ARPU/Churn Rateであることから、

LTV/CAC=(ARPU÷Churn Rate)/(CAC回収期間×ARPU)となり、計算すると

LTV/CAC=1/Churn Rate×CAC回収期間となります。

1/Churn Rateは平均継続期間となることから、

LTV÷CAC=平均継続期間/CAC回収期間となります。

この前提でLTV/CAC>3がいいと言われる理由を説明します。

LTV/CAC=サービス平均継続期間/CAC回収期間>3であるべきと言われる理由

Churn Rateは、1%で100か月の平均継続期間、2%で50か月の平均継続、3%で33か月の平均継続、4%で25か月の平均継続となります。

投資ファンドのCoralのHPによると、CAC回収期間は12か月程度、また、SaaS企業のChurn Rateも3%程度に抑えることが望ましいとされています。

これをユニットエコノミクスに当てはめると、サービス平均継続期間33か月/CAC回収期間12か月となり約3となります。そのため、ユニットエコノミクスは3以上あることが望ましいとされているのです。

ユニットエコノミクスの改善

上記の通りユニットエコノミクスは3以上であることが望ましいとされています。では、実際ユニットエコノミクスが3に足りないときはどうすればいいのでしょうか。

ユニットエコノミクスを改善するには、LTVを上昇させるか、CACを下落させるか、いずれかの方法しかありません。

LTVの改善

LTVを改善するには、ARPUを上げるかChurn Rateを下げるしかありません。

ARPUを上げるには契約価格の増加となりますが、価格の上昇はそのままChurn Rateの増加につながることから、両者は相反することとなります。

そのため、LTVの改善にはARPUの増加よりもChurn Rateの下落を目指す方がよく、そのためには顧客満足度の向上が重要と言われています。顧客満足につながるようサービスの充実を図れば解約率の減少につながることからLTVの改善に資することとなります。

CACの下落

一方、CACを下落することができればユニットエコノミクスは改善することとなりますが、CACの下落はそのままユーザー数の下落につながることから、CACを下落する方法でのユニットエコノミクスの改善はいい方法では無いのかもしれません。

最後に、ユニットエコノミクスについて詳解した解説本はあまり無いように思います。私もいろいろ調べて勉強していますが本があれば読んでみたいなと思います。ユニットエコノミクスの考え方は独立した場合にも使えそうなので、独立後も検討してみたいと思います。

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この記事を書いた人

大手監査法人に勤務している会計士です!
会計基準、株式や不動産投資などのお金に関する情報を発信しています。

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