のれんの償却期間の決め方は?会計士が事例をもとに解説!

のれんの償却期間の決め方は会社によって様々です。

これは、会計基準においてのれんの償却期間の具体的な決め方が明記されておらず、20年以内であれば何年とするかは各社の自由とされているためです。

そこで何を参考にすればいいのか等、私の過去の経験を踏まえてのれんの償却期間の決め方について説明しています。

そもそものれんとは?という記事はこちら

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目次

のれんの会計処理(日本基準)

のれんの会計処理ですが、のれんは資産に計上し20 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法その他の合理的な方法により規則的に償却すると、会計基準で定められています。

そのため、発生した会計期間から決定した償却期間で均等償却することとなります。

また、のれんは固定資産の減損会計の適用対象となることから、毎期減損を行う必要が無いか確認する必要があります。

のれんの償却期間の決め方

では、のれんの償却期間はどのように決めるのでしょうか。

のれんの償却期間は何年にできるか

のれんの償却期間について定めた会計基準は1つしかありません。それは、「20 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する」というものです(企業結合に関する会計基準32項)。

そのため、のれんの償却期間は20年以内であれば何年でも問題は無いのです。

のれんの償却期間は何を根拠に決定するか

ただし、のれんの償却期間を決めるにあたって根拠を持つ必要があります。利益がいい感じになるために償却期間を10年にしました!では会計士はOKを出さないでしょう。

重要なのはのれんの償却期間が合理的であると説明できるかどうかです。よくある例としては以下が挙げられます。

  • 投資回収期間を考慮
  • 被買収会社が高いキャッシュ・フローを維持できると見込める期間

投資回収期間

投資回収期間とは、被買収会社を取得するために支払った取得対価を、被買収会社から生じるキャッシュ・フローの何年分で回収できるかを言います。

例えば取得対価は140億円で、取得した会社が1年間で産み出すキャッシュ・フローが14億円だとします。そうすると、取得対価140億円を回収するには10年かかることとなります。そのため、のれんの償却期間を10年とするものです。

投資回収期間以降も当然事業活動は継続するでしょうが、投資回収期間を参考とする方法は、少なくとも投資回収が進んでいる間はのれんの効果が発生していると考えることを理由としています。

被買収会社が高いキャッシュ・フローを維持できると見込める期間

次の方法は、取得した会社が営んでいる事業の事業サイクルを考慮したり、取得した会社が所有している特許権や契約の有効期間を考慮する方法です。

例えば、半導体事業では5年程度でサイクルが終焉すると言われています。そのため、被買収会社が半導体事業を営んでいる場合には少なくとも5年程度は高いキャッシュ・フローを維持できると見込み、のれんの償却年数を5年とするものです。

特許権や契約の有効期間を考慮する方法も同様です。特定の特許や契約が有効な間はその特許や契約に基づき高いキャッシュ・フローを維持できると考えて、その有効期限をのれんの償却年数とするものです。

それ以外には・・

それ以外にものれんの金額的重要性がないことから、のれんの償却期間を過去に基準で認められていた5年とする方法もあるでしょう。

一般的にのれんの償却期間は長期になるほど証明しにくいものと言われています。経済環境の変化が激しい現代において20年後も被買収会社の事業(のれん)が同様に継続していると客観的に説明するのが困難なためです。

のれんの償却期間まとめ

のれんとは?という記事はこちら
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この記事を書いた人

大手監査法人に勤務している会計士です!
会計基準、株式や不動産投資などのお金に関する情報を発信しています。

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