リースとレンタルの違いを聞かれることがあるのですが、会計基準的にはレンタルとリースの区別はありません。レンタルも含めた賃貸借取引はすべてリース基準で整理され、ファイナンスリースかオペレーティングリースの区分でしか処理が分かれません。しかし、一般的な概念としてはリースとレンタルには明確に違いがあるようです。
そこで、リースとレンタルの違い、それと会計処理について調べてみました。
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リースとレンタルの違いと共通点
リースとレンタルの共通点はいずれも対象となるものを賃借するということですが、それ以外は以下のとおり様々な点で異なっています。
リース | レンタル | |
契約期間 | 中長期 | 短期 |
対象物件 | ユーザー指定が可能 | レンタル会社保有の資産から選択 |
中途解約 | 不可 | 可能 |
修繕 | ユーザー | レンタル会社 |
所有権 | リース会社 | レンタル会社 |
料金体系 | レンタルより高割安 | 一定 |
契約終了後の扱い | 返却または再リース | 返却または延長 |
代表的な契約例 | PCや複合機等のオフィス機器 | 建設機械など |
リースの場合はユーザーである会社がリース対象を選択して契約となる一方、レンタルの場合はレンタル会社の所有の資産から選択して契約する形が多いのではないでしょうか。そのため、リースの場合は特定のユーザーが使い切る前提の契約となっていますが、レンタルの場合は色々なユーザーが利用することが前提となっています。
リースとレンタルのメリット・デメリット
リースとレンタルのメリット・デメリットは以下のとおりとなります。
リース | レンタル | |
メリット | ・最新の設備を使える
・購入するよりも初期投資は少額で使用できる |
・必要な期間だけ短期で借りれる
・事務処理負担が軽減される |
デメリット | ・所有権がない
・中途解約ができない ・保守はユーザーで行う |
・選択肢が少ない
・短期では料金が割高 |
リースでは、対象物件をユーザーが指定可能となっていることから、最新の設備を使えるメリットがあります。また、購入するより初期投資が少ないのもメリットでしょう。一方で、そのデメリットは所有権がない、使い切ることを前提としているため中途解約ができない、必ずしもそうではありませんが保守はユーザー自ら行うケースが多い等の点が挙げられます。
一方レンタルでは、短期からの契約が可能、保守や保険対応等はレンタル会社が実施してくれるため事務処理が軽減されるメリットがあります。デメリットしてはレンタル会社が所有している資産からのみレンタルとなるため選択肢が少ない点でしょうか。
リースとレンタルの会計処理はどうなるのか?
リース基準上はリースとレンタルの区分はない
最初に記載した通り、会計上はリース契約とレンタル契約という観点で処理を分けていません。リース基準では、リース取引を以下のとおり規定しています。
一般的なリース契約もレンタル契約も上記定義に当てはめるといずれもリース取引となります。
会計上はファイナンスリース取引かオペレーティングリース取引の区分のみ
では、リース基準はどの観点から会計処理を区分しているかというと、ファイナンスリース取引かオペレーティング取引の観点からのみ処理を分けています。
上記に従ってリース契約やレンタル契約がファイナンスリース取引かオペレーティングリース取引に該当するか判断します。
その結果、当該契約がファイナンスリース取引に該当すれば売買処理という資産計上して償却する処理を、オペレーティングリース取引に該当する場合には賃貸借処理という手数料支払い時にのみ費用処理します。
以上のとおり、一般的なリースとレンタルという表現は会計上の区分とはマッチしない形となっています。ただし、一般的なレンタルというものはリース基準上はオペレーティングリース契約になることが多いです。これはレンタルのケースでは多数のユーザーに利用させることを前提としているため、ファイナンスリース取引のフルペイアウトを満たさないためです。
以上、「リースとレンタルの違いと共通点は?会計処理はどうなるのか?」という記事でした。