紙でも保存可能?国税庁より電子取引関係のデータ保存の補足が公開

先日電子帳簿保存法の改正に関する記事を書きました。その中でも早期の対応が必要となるのが電子取引関係のデータです。紙面での証憑が残る取引と異なり、電子取引のデータは電子データでのみ保存されることから、電子帳簿保存法での保存要件を守ることが必須となるためです。

しかし、これについては問い合わせが多かったのか2021年11月12日にこの電子取引関係の電子データ保管について国税庁より補足が発表されています。今日はその内容を見てみたいと思います。

(スポンサーリンク)

目次

電子取引関係の証憑は電子帳簿保存法の要件順守が必須?

そもそも電子取引関係とは、電子データでのみ取引に関する証憑をやり取りするケースを指しています。例えば、EDIデータで取引を行っている取引先の注文書や、電子データでのみ発行される請求書などです。

紙面で取引を行っている取引先については引き続き紙面で証憑を保管すれば電子帳簿保存法等無関係に証憑を残すことができましたが、電子データでしか証憑が残らない電子取引関係のデータはそうもいきません。そのため、以前以下の記事で電子取引関係のデータについてはタイムスタンプ要件などの順守が必要になる旨を記載しました。

しかし、これについては色々問い合わせが多かったのか国税庁から追加でQ&Aが発表されています。その内容を見てみたいと思います。

国税庁からQ&Aが追加で発表され罰則が緩和

そもそも、電子取引関係のデータ保存について当初のQ&Aでは以下の通り回答していました。これによると電子取引関係のデータを打ち出して書面で保存することは認められず、特段の事情がない場合に電子帳簿保存法の要件(タイムスタンプ等)に従って保存していない場合、青入り申告の承認の取り消し対象となり得ますとまで記載されていました。

問42 電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を満たして保存できないため、全て書面等に出力して保存していますが、これでは保存義務を果たしていることにはならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのでしょうか。また、その電磁的記録や書面等は税務調査においてどのように取り扱われるのでしょうか。

【回答】
令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えることはできません。
したがって、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。

引用元:電子帳簿保存法Q&A(一問一答)

しかし、今回11月12日に発表されたQ&Aの補足では以下の通り追記されています。

補4 一問一答【電子取引関係】問 42

【補足説明】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないかとの問合せがあります。
これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。

引用元:お問合せの多いご質問(令和3年 11 月) 

電子データを書面で保存していても、その事実をもって直ちに青色申告の承認が取り消したり、税務調査においても経費として認められないとするわけではないとしています。従来のQ&Aから比べると論調がだいぶ緩くなっており、厳格な罰則は見送っているものと考えられます。

最後に

いずれは電子データでの保存が必要にはなるでしょうが、やはり2022年1月からというのは早急すぎたでしょうか。ただ、いずれは必要になることからそれに向けての準備の猶予期間ができたと考え、準備するのがいいかと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大手監査法人に勤務している会計士です!
会計基準、株式や不動産投資などのお金に関する情報を発信しています。

目次