【監査法人は人手不足で忙しい】2023年の監査法人の労働環境

悩んでいる経理

監査法人は人手不足と聞くけど実際のところはどうなの?

上記の質問に監査法人で勤務している現役会計士がお答えします!

この記事で分かること
  • 監査法人が人手不足で忙しい根本的な理由
  • 人手不足解消に向けて監査法人の対応策は?
  • 人手不足なら監査法人は給料はいいの?
  • 監査法人の人手不足は今後緩和されるか?

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目次

監査法人が人手不足で忙しい根本的な理由

2023年現在の監査法人の労働環境ですが、ひとことで言うと人手不足で忙しいに尽きます。

では最近の監査法人がどうして忙しいのか要素に分けて調べてみました。

最近の監査法人は人手不足で忙しい・・忙しさの理由は?

最近の監査法人は人手不足で忙しいと書きましたが、これは労働時間が増えていることを意味します

では、どうして労働時間が増えているのか?

これはすごく単純で、監査法人での仕事量が増加しているにも関わらず労働人口が増えない、そのため1人当たりの労働時間が増えています。その結果、監査法人の会計士は忙しい状態となっています。

監査法人が人手不足で忙しくなっている要因:①仕事量の増加

最近の監査法人では、過去と比較して単純に業務量が多くなっています。どうして仕事量が増えるのか?

これは、監査の品質管理基準の厳格化によるドキュメント量の増加、毎年のように改訂される会計基準への対応といった理由により作業量が増えているためとなります。

特に最近は、新収益認識基準やKAMの導入といった大型の会計基準や制度導入が相次いだため、業務量が一気に増えています。そのため、監査法人全体の仕事量が大幅に増加している事情があります。

監査法人が人手不足で忙しくなっている要因:②労働人口(会計士)が増えない

業務量の増加に対して労働人口が増えれば個人の業務時間も同じくらいになるのでしょうが、そうもいっていないところが監査法人の忙しさに拍車をかけています。どうして会計士が増えないのでしょうか?

これは退職する会計士が多いということですが、主に2つの理由があります。
1つは、悪循環ですが、人手不足で忙しくもう少しゆっくりした働き方を選択したい人がということです。
また、もう1つは、会計士にとって監査法人外で働けるチャンスが増えたことにより監査法人に必ずしもとどまる必要がなくなったという理由もあります。

改めて仕事量の増加に対して監査法人の会計士が足りなくなっていることから監査法人は人手不足となり忙しくなっている状況です。

人手不足解消に向けて監査法人の対応策は?

では、忙しさのために監査法人が何も対策していないのかといわれるとそうでもなく、監査法人側でも色々対策をしています。

忙しさを緩和するためには、①労働時間を増やすか、②仕事量を減らすのどちらかしかありませんが、監査法人側でもそれぞれ対策しています。

忙しさ緩和のためには…
  1. 監査法人全体の労働時間を増やす
  2. 監査法人全体の業務量を減らす

それぞれ以下のとおりです。

①監査法人全体の労働時間を増やす対策

監査法人全体の労働時間を増やすためには、辞める人を減らすか、新たに人を雇うかのいずれかしかありませんが、これらについては主に3つほど考えられているようです。

辞める人を減らし、新たに人を雇う方策
  • 辞める人を減らすために多様な働き方を可能とする
  • 労働時間を増やすためにリモートも活用する
  • 新たな労働力として中途採用や専門職以外の採用を増やす

①多様な働き方を可能とする

これは主に女性についてですが、従来の監査法人では出産のタイミングで育休を取って戻ってくるとなかなか昇進を選択しにくいという問題がありました。

監査法人で働く女性が育休を取るタイミングというのは、通常マネジャーに上がるかどうかというタイミングとかぶることが多かったのですが、更なる出産を考えた場合マネジャー業務をこなせるか等の不安があり、昇格を選択せずに結果としてやめてしまう女性が多かったのです。

この問題についてはフレキシブルな働き方を認めることで解消しており、現在は子育てが理由でマネジャーに上がることを選択せずに退職するというケースは減ったように思います。

それ以外にも、男性でも育休を取ることが可能となったりするなど、依然と比べて働き方の多様性を認め、労働人口の確保につなげているように思います。

②リモートを活用する

コロナ対策の一環として導入されたリモートですが、監査法人では労働時間確保の手段としても採用される傾向にあります。

そもそも監査という仕事とリモートワークの相性がよく、証憑と突合する等の手続に関しては場所を問わずに作業できるリモートでの実施が推奨されています。

緊急事態宣下では多くの大手監査法人でリモートワーク必須となっていましたが、緊急事態宣言が明けてからも通勤時間を減らす目的で採用されている印象です。

③中途採用や専門職以外の採用

労働人口確保のため中途採用を積極的に増やすようです。といっても、監査法人をやめた人が戻ってくるのかどうかは不明なところです。

また、専門職以外の採用も増やすようです。ここで専門職以外というのは会計士以外のことを意味しており、単純作業のような業務を専門職以外に任せることにより、専門職である会計士に更なる経験を積ます、それにより面白くないという監査業務の解消も狙っているようです。

監査法人としては専門職以外の採用という面を積極的に進めているようです。私の勤務している監査法人でも専門職以外の人員が増えてきている傾向にあります。

監査法人全体の労働時間を増やす一方で、作業量を減らすための対策はどのようなものがあるのでしょうか。

④監査法人全体の業務量を減らす

労働人口や労働時間を増やすのは上記の通りとなっている一方、作業量を減らすための施策も行われています。その多くは監査手続の削減です。

品質管理を維持しつつ監査手続を削減する試みが行われているのですが、これは過去から継続して行われており、また調書の多くは監査のルールで作成が必須とされているものも多いため、作業量減少はなかなか難しいところが多い印象です。

そのため業務量自体は大きな変動がなく従来とおり多いという印象です。

人手不足なら監査法人は給料はいいの?

最近の給料事情ですが、少し前より良くなっています。

これは単純に監査法人の業績が良くなって賞与が増えているためです。業績が好調な要因は監査報酬が下がらない割に経費が下がっているためと思います。

監査法人の業績が好調な理由
  • 監査報酬が下がらない理由は、コロナ禍でもそこまで業績が落ちていない会社が多いということと、監査法人が値下げをしないためです。
  • 経費が下がっているのは他の企業と同様です。リモートワークが推奨されており、また出張も規制されていますので、通勤費、旅費交通費、出張手当が大幅に減少しています。

業績が好調で人手不足なことから会計士の給料が良くなっているのは間違いありません。

なお、最近のリアルな会計士の年収は以下をご覧ください。

監査法人の人手不足は今後緩和されるか?

これから忙しさが緩和されるかどうかは上記の施策がどれだけ効果を出すかどうか次第です。

しかし、個人的には法人でとれる対策に限度があるのではないかと感じます。公認会計士協会でもこういった忙しさは認識されているようですので、もしかしたら今後合格者数の増加などもあるのかもしれません。

以上、「【監査法人は人手不足で忙しい】2022年の監査法人の労働環境」という記事でした。

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この記事を書いた人

大手監査法人に勤務している会計士です!
会計基準、株式や不動産投資などのお金に関する情報を発信しています。

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