2016年の導入から既に4年が経過していますが、個人的に興味のあるiDeCoについて書いてみたいと思います。iDeCoの内容、メリット・デメリットや税務上の取り扱いについて解説します。
iDeCoとは何か?

iDeCoの定義
iDeCoとは個人型確定拠出年金であり、制度概要は以下の通りです。
ポイントは、自分で拠出し、自分で運用するタイプの、確定型拠出年金ということです。
○ iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度で、加入は任意です。
○ iDeCoはご自分で申し込み、掛金を拠出し、ご自分で運用方法を選んで掛金を運用します。 掛金とその運用益との合計額を給付として受け取ることができます。
○ iDeCoでは、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられています。
○ iDeCo(イデコ)は、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金を60歳になるまで拠出し、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
- ※60歳になるまで、原則として資産を引き出すことはできません。
○ 基本的に20歳以上60歳未満の全ての方(※)が加入でき、多くの国民の皆様に、より豊かな老後の生活を送っていただくための資産形成方法のひとつとして位置づけられています。
引用元:iDeCoホームページ
確定拠出型の年金とは何なのか従来型の給付型の年金と比較してみてみます。
確定拠出年金と確定給付年金の違い
年金制度を語るときによく出てくるのが確定拠出年金と確定給付年金です。両者の違いは、拠出が確定しているのか、給付が確定しているのかという点です。
いわゆる従来型の企業が負担する確定給付年金では給付が確定していました。つまり、従業員が将来受け取れる給付金を企業が確定してくれることから、確定給付年金と呼んでいたのです。
しかし、この制度は企業での負担が大きいものです。年金は企業が拠出した資金をベースに運用した利益で支払うことになりますが、企業が持続的に成長できていた時代には運用にも問題はありませんでした。しかし、近年の不安定な状況では給付を行うために必要な金額を運用益でカバーすることは困難を伴います。また、給付のために必要な資金を企業が運用で確保できない場合、法律上、企業に追加で資金を拠出することを求めています。これも企業にとっては大きなリスクです。
そのため、多くの企業で確定給付年金から確定拠出年金に移行しています。確定拠出ではルールで定めた確定の金額のみを従業員に拠出すればよいだけとなり、将来の給付まで保証する必要がなくなるためです。
上記は企業型の確定拠出年金となりますが、iDeCoはそれの個人版となります。企業の年金だけでは不安を感じる場合に、老後に備えて個人で年金を拠出する制度なのです。
iDeCoメリット・デメリット

個人型確定拠出年金であるiDeCoですがメリット・デメリットがあります。
メリット1:老後に必要な金額を自分で準備できる
iDeCoでは月額5,000円から1,000円単位で始められます。他の施策と合わせて将来自分が必要と思う金額から投資を始められるのは大きなメリットではないでしょうか。
メリット2:運用に対して自分で責任を持てる
どの金融商品を選択するかを自分で選べるため運用結果に対して自分で責任を持てます。ローリスク・ハイリターンのものからハイリスク・ハイリターンのものまで何を選ぶか自分で選べます。
メリット3:様々な税制上のメリットがある
様々な税制メリットが用意されています。これについては後述します。
デメリット1:自分で資金を確保する必要がある
企業型の年金と違い個人型となっていることから自分でiDeCoのための資金を準備する必要があります。
デメリット2:運用結果に対して責任を負う必要がある
自分で運用商品を選ぶことができて運用結果を自分で選択できるということはメリットと同時にデメリットであるとも言えます。
デメリット3:原則として60歳まで引き出し不可
途中で止めたということはできず運用結果については60歳まで原則として引き出し不可となっています。
iDeCoの税務上の取り扱い
最後に税制上のメリットです。大きく以下3つのメリットがあります。
- 拠出金が税務上損金で落ちる
- 運用益も非課税
- 積み立てたお金を受け取る際にも控除枠が使える
拠出金が税務上損金で落ちる
iDeCoに拠出した金額については全額が所得控除の対象です。iDeCoの上限枠があるものの上限枠の範囲内では1年間通して支払った拠出金が、年末調整を通して所得控除することが可能です。
そのため、iDeCoに拠出することにより所得税とそれに伴う住民税を安くすることが可能です。
運用益が非課税
通常、金融商品などを購入した際に発生した利益には20.315%(所得税15.315%+住民税5%)がかかります。
しかし、iDeCoを通じて購入した投資信託による売買益や定期預金の利息には税金がかかりません。
積み立てたお金を受け取る際にも控除枠が使える
60歳以降にiDeCoで積み立てたお金を受け取るとき、まとめて一括で受け取る場合は退職所得となり退職所得控除が適用され、分割で受け取る場合は雑所得として「公的年金等控除」が適用されます。
退職所得控除
勤続年数 | 控除額 |
勤続年数20年以下 | 40万円×勤続年数 (80万円未満の場合は80万円) |
勤続年数20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
公的年金等控除

様々なメリットがあるiDeCoです。制度ホームページはこちら