新型コロナ感染症の拡大以降、各企業で在宅勤務が増えている影響で、通勤定期代を支給せずに実費精算に切り替えている会社が多いようです。どのような影響があるのでしょうか。
通勤交通費を実費精算に変える理由
大手企業で通勤費実費精算の導入が進む
改めてコロナ拡大に伴い通勤交通費の支給を止めて実費精算に移行している企業が増えているようです。言わずもがなコロナにより在宅勤務導入が進んだ結果、会社に通勤する必要がなくなったためです。
ぱっと調べてみたところでも、キリンHD、ANAやNTTなど日本を代表する大手企業でも通勤交通費の支給を止めているようです。こういった会社では通勤交通費支給を止めて交通費は実費支給となるようです。
テレワーク手当の導入
全てではありませんが、こういった企業では同時にテレワーク手当を導入しているようです。在宅で勤務する結果、家庭で発生する電気代やネット代などの業務に必要な費用を企業が負担するための手当と言えるでしょう。
その金額はホンダでは1日500円、富士通は月5,000円、メルカリは半年60,000円となっています。それ以外にも1回限りで何万円という形で支払っている会社もあるようです。今度在宅勤務がより進むため、テレワーク手当を導入する会社は今後ますます増えるでしょう。
監査法人の場合
ちなみに私が勤務している監査法人でも先日通勤定期代の支給を廃止し、実費精算に変えるとのお達しがありました。監査法人の場合、もともとクライアントに直行直帰で業務する人も多かったので、この流れで実費精算になるのは当然な気もします。
監査法人でもコロナの同時感染リスクを低減するため、マネジャーが往査の人数を調整し、在宅、往査及び事務所勤務の割合がだいたい3分の1ずつになるようにしています。そのため、この通りに在宅、往査と事務所勤務の割合が配分されているのであれば、個人で通勤が必要となるのは全労働日数の3分の2程度となります。このような状態では通勤交通費を支給するのは経済的に合理的ではないと判断した様です。
通勤定期を購入するか実費精算するかどっちがお得?
しかし、この法人の通達を見たとき実は通勤定期を購入して実費精算した方が得なんじゃない?と私は感じました。
と思いましたが、やはり同じこと考える人がいるようで見事にその対策も記載されていました。月14日程度以上事務所に通う人間については通勤定期を購入するよう指示されていました。さすが監査法人、対策も万全だなと妙なところで感心してしまいました。
ということで、月14日以上事務所に行く可能性がある場合には、きっちり定期を購入しようと思います。
ちなみに税務上の取り扱い
最後に通勤定期代とテレワーク手当の税務上の取り扱いです。
通勤定期代
以下の通りです。会社側では損金として費用計上できる一方、個人側でも非課税となっています。業務に必要な経費として法人側は当然として、個人側でも非課税となっています。
法人 | 個人 | |
通勤定期代の取り扱い | 法人税法上損金となる。 | 所得税法上は非課税。ただし、1か月15万円を超える場合は課税される。 |
テレワーク手当
テレワーク手当については税務上の取り扱いが明確に規定されてはいません。しかし、その他の規定から以下の通りであると考えられます。
法人 | 個人 | |
テレワーク手当の取り扱い | 法人税法上損金となる。 | 所得税法上は課税。
通勤手当と違い所得税上非課税とされる規定が存在しないため個人も課税されることとなります。 |
以上、在宅勤務に関する記事でした。