新収益認識基準では出荷基準ではなく検収基準が原則なのはどうしてなの??
新収益認識基準では従来の出荷基準ではなく検収基準が原則的な収益認識の基準となっています。これはどうしてなのでしょうか。その理由を解説します。
- 新収益認識基準における収益認識の考え方
- 新収益認識基準では検収基準が原則となる理由
新収益認識基準における収益認識の考え方
そもそもですが新収益認識基準ではどのように収益が認識されるのでしょうか。収益認識基準17項に以下のとおり記載されています。
履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する。
また同基準において履行義務も以下のとおり定義されています。
「履行義務」とは、顧客との契約において、次の(1)又は(2)のいずれかを顧客に移転する約束をいう。
(1) 別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束)
(2) 一連の別個の財又はサービス(特性が実質的に同じであり、顧客への移転のパターンが同じである複数の財又はサービス)
履行義務は少しわかりにくいですが、以下のとおり考えれば問題ないと思います。
履行義務とは、取引の相手方との間で合意された約束となります
そのため、顧客との間で合意された約束を履行した時点で収益を認識することになります。この考え方に違和感はないでしょう。商品を買う約束をしたのであれば、その商品を渡すという約束を履行した時点で収益を認識するというのは当然のためです。
では、この考えをもとにどうして従来の出荷基準から検収基準が原則となったのか説明したいと思います。
新収益認識基準では検収基準が原則となる理由
上記で説明したとおり、収益は履行義務(取引の相手方との間で合意された約束)を果たした時点で収益認識すると言いました。では、どうしてそれが出荷ではなく検収のタイミングになるのでしょうか。これもある種当然と言えます。
それは、
履行義務(取引の相手方との間で合意された約束)を果たすのは、売主が出荷した時点ではなく、買主が検収した時点だからです。
当然ですが、商品は買主が検収した時点で初めて約束を果たしたこととなります。いくら売主が商品を発送したよと言っても買主がそれを検収しなければ約束を果たしたことにはなりません。
そのため、新収益認識基準では検収基準が原則となっています。
以上、短いですが「新収益認識基準では検収基準が原則となっている理由」という記事でした。なお、一部については従来とおり出荷基準も認められています。それについては以下を参照ください。